千田酒造
▲のどかな田園風景にマッチした工場の外観。 東北本線石越駅から「くりはら田園鉄道」に乗って25分の栗駒町は宮城・岩手・秋田の県境にまたがる栗駒国定公園の宮城側の入口に当たり、秀峰栗駒山がそびえ、雄大な自然がたくさん残っており、山肌にはブナの原生林、湿原、渓谷、滝、湧き水、雪渓など貴重な自然が手付かずのまま残されております。 その麓の町栗駒町で米味ののった酒”を基本に、名水「栗駒山系伏流水」を使い、南部杜氏と蔵人と社長が一体となって丹誠込めて酒造りをしている総石高260石の千田酒造です。 千田酒造の沿革 大正9年創業。初代千田養治郎は、金成町で農業を主としながら他に麹を造るなどして商いをしていました。彼は自分が広げた田畑や山林を維持拡大するだけでは飽きたらずに鶯沢町にあった造り酒屋を譲り受けることとなり鶯沢町で酒造業を営むことになりました。その後、よりよい酒を造るための良い水を求め酒蔵の移転を考えるようになりました。その頃栗駒町中野地区に良い水が湧くとの話を聞いた彼は早速中野へ出向き確かめたところ、自分の理想の水に出会うことができました。そして即刻この地への移転を決断したのでした。昭和12年、現在の地に酒蔵が造られ彼は新しい蔵と良い水を手に入れることが出来ました。 この蔵元の特定名称酒「栗駒山」は、秀峰”栗駒山”の麓に蔵があることにちなんで命名されました。なお奥鶴の銘柄で普通酒も販売しています。 これまで多くの鑑評会において数々の好成績をおさめております。東北清酒鑑評会では平成5年秋、6年春秋、7年春秋、8年春、9年秋、受賞しています。加えて平成8、9年国税庁主催の全国清酒鑑評で銀賞を受賞しています。南部杜氏自醸清酒鑑評会では平成5年から5回優等賞を受賞しています。 千田社長がこだわっている酒造りとは?! 仙台の某デパートの店頭で試飲販売する社長が「私は商人です、私たちが造った酒を買ってくれるお客様があっての酒蔵です、その感謝の心を忘れずにやっていきたい。」と話す言葉に蔵の良心を感じました。その社長の酒に対する考えをお聞きしました。 「当社の仕込水は蔵の前にある井戸水です。初代の千田養治郎が求めた栗駒山の雪融け水なのです。井戸に入ってみて驚くことは湧いているというより井戸の底でまるで川のように水が流れていることです。それほど水量が多いのです。そして飲んでみると、すうっとして爽やかなのど越しなんです。 この水を使い、この蔵の人間が仕込んだ酒それが栗駒山です。私がめざしている酒とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まず醪(もろみ)を搾った時、その時においしい酒を造ることです。 酒の素性が良く、バランスが良くて雑味もなく変な香りもしないのであれば、その酒の味、香りを膨らませ、特徴も膨らませてそのまま飲んでいただきたい。そのような”米味ののった酒”をめざしています。 それには先にお話したように、搾ったときに良い酒でなくてはなりません。そのためには、なにより酒の造り手としての技術を高めることです。加えて私たちの技が充分発揮できる環境にすることです。 仕込みのペースをゆっくりして余裕のある安全で確実な酒造りをすことによって1本1本の醪を丁重に手がけるとゆうことも非常に重要です。 そのため当社では4日に一度の留め(通常は毎日とか2日で1本の留め)にしています。 ”再現性のある酒”を当社の大きな目標としています。 毎年酒が違うのでは消費者の皆様のご支持は受けられません。 そのため先に述べたようなノウハウも重要ですが設備面での充実も欠かせません。当社では、コンマ1度で制御する醪の温度センサーや冷水装置、自動製麹機などの最新設備を備えています。 出来た酒の管理が品質に大きく作用するため酒を生鮮品のように扱うというポリシーから、活性炭には頼らず品質保持のため栗駒山は冷蔵管理しています。 現在栗駒山だけで、わずか200石の出荷ではありますが27坪の大型冷蔵庫を持っています。それゆえ全量冷蔵瓶貯蔵を可能にしているのです。」 徹底した最高の酒造りにこだわり続ける若き五代目社長です。 全量瓶貯蔵にこだわる理由は? 品質の保持(タンク貯蔵だと空気に触れる面積が多いため酸化しやすい) 火入れの後急冷が出来るので酒へのダメージが最小限度に押さえられる。 仕込み時期には、仕込みをしつつ、搾ってからすぐに火入れするので、瓶詰だと適時に火入れして急冷出来る。 活性炭濾過をしない理由は? 炭素に頼らないとの方針で、酒造りをしているので失敗は許されないとの心構えで杜氏・蔵人全員が真剣勝負が出来る。 酒のバランスがよければ、濾過しないほうがバランスがよくおいしい酒を 提供できる 小さい蔵だからこそ、みんなで知恵を出しあい、手間を惜しまず全力で酒造りをしています。…