「幻の日本酒」と呼ばれる銘柄、十四代

幻の日本酒とも呼ばれる、高級かつ希少な日本酒、十四代。日本酒好きの間では珍重されています。

この記事では、十四代を今のブランドにまで押し上げた戦略について説明します。

十四代の高級志向マーケティング

十四代は他の日本酒と比べると、四合瓶でも数万円(ものによっては数十万円)と破格に高い価格設定です。パッケージも箔押しで銘柄が施され、シックかつ高級感ある雰囲気に仕上げられています。しかも、インターネットが発達した今でも流通量が極端に少なく、手に入れられるのはある種の「運」がなければ手に入れられないという状況です。

しかし、これこそが十四代の戦略なのです。この銘柄を作っている高木酒造は、山形県の酒蔵であること以外は詳細がほとんどわかっていません。ホームページもないため連絡も取りにくい状態にあります。今ならネット越しになんでも買え、ほとんどの情報にアクセスできる時代です。その中で秘密性を保つことでより希少性を高めています。

プレミア感

また、生産量を少なくすることで希少価値を上げプレミア感を出しています。その希少性により、高い値段でも生産したそばから売り切れるという市場の状態を生み出したのです。そう、別記事「日本酒ブランド『獺祭』の現代的な戦略」で紹介した、製法をマニュアル化して大量生産方向に切り替えた獺祭とは真逆の戦法です。

もちろん、高価格、希少性が常に美味しさと比例するわけではありません。しかし、フルーティーな日本酒ブームの火付け役であった十四代は、今でもその価格に見合う質を保っていると顧客が判断しているからこそ、皆が手に入れたがる「幻」であり続けているのです。